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ケーススタディ

EC通販企業のMMM活用事例:テレビCM開始後の効果が見えない問題をどう解決したか

年商20億円のEC通販企業がテレビCM開始後、効果が見えず社内が混乱。MMMを導入してオフライン・オンラインの統合分析に成功し、ROAS 23%改善を実現した事例を紹介。

MMM Lab 編集部2026/2/215分で読める10

EC通販企業のMMM活用事例:テレビCM開始後の効果が見えない問題をどう解決したか

はじめに

「テレビCMを始めたが、本当に売上に貢献しているのか分からない」——これは、デジタルマーケティングに強みを持つEC通販企業がオフライン広告に進出する際、必ず直面する課題です。

本記事では、年商20億円の健康食品EC企業がMMMを導入し、テレビCMの効果を可視化してROAS 23%改善を実現した事例を紹介します。

企業プロフィール

項目内容
業種健康食品EC通販
年商約20億円
年間広告費約3億円
主要チャネルテレビCM、リスティング広告、SNS広告、アフィリエイト、同梱チラシ
課題テレビCM(年間1億円)の効果が不明、デジタルとの連携が見えない

導入の背景と課題

なぜMMMが必要だったか

同社はデジタル広告で成長してきましたが、成長率が鈍化。経営判断でテレビCMに年間1億円を投下しました。しかし半年後:

  • CPAが悪化:全体CPAが15%上昇
  • テレビCMの効果が不明:「テレビを見て買った」と答える顧客はほぼゼロ
  • 社内の対立:デジタルチームは「テレビCMは無駄」、ブランドチームは「認知向上に必要」と平行線

MMM導入で解きたかった問い

  1. テレビCMは売上にどの程度貢献しているのか?
  2. テレビCMはデジタル広告の成果を押し上げているか?
  3. 3億円の広告予算をどう再配分すべきか?

導入時に直面した難しさ

難所1:テレビCMデータの取得

最大の壁はテレビCMのデータ取得でした。広告代理店から提供されるレポートはGRP(延べ視聴率)ベースの月次データのみ。MMMには週次の出稿額またはGRPが必要です。

具体的に何が難しかったか:

  • 代理店にMMMの概念を説明し、週次データの提供を依頼するのに1ヶ月かかった
  • GRPデータを「出稿額」に換算する際、スポットCMとタイムCMで単価が異なり、按分ロジックの合意に時間がかかった
  • 最終的にはGRPデータをそのまま使い、金額換算は行わない方針に変更

学び:テレビCMデータは「完璧な金額」にこだわらず、GRP等の活動量指標で十分分析可能。

難所2:アフィリエイトの成果報酬型データ

アフィリエイトは成果報酬型で、「広告費」が事後的に確定します。MMMの入力として:

  • 確定前の概算値を使うか
  • 確定後の実績値を使うか

確定後データは2ヶ月遅れで届くため、タイムリーな分析ができません。

解決策:アフィリエイト経由のCV数を代理変数として投入。費用ではなく「活動量」で効果を推定する方式に。

難所3:「ベースライン売上」の高さ

初回分析の結果、ベースライン(広告なしで発生する売上)が**売上全体の65%**と推定されました。これは「広告費3億円をかけても、売上の35%しか広告で説明できない」ことを意味します。

経営層からは「3億円も使って35%しか効果がないのか?」という反応。

説明の工夫:ベースラインにはリピート顧客の自然購入、SEO流入、ブランド力が含まれること、また広告がベースライン自体を長期的に押し上げていることを丁寧に解説。

分析結果と発見

テレビCMの「見えなかった効果」

MMMにより、テレビCMの3つの効果が可視化されました:

効果内容推定貢献
直接効果CM視聴→サイト訪問→購入売上の8%
検索リフト効果CM放映後のブランド検索増加売上の5%
CVR向上効果リスティング広告のCVRが1.4倍に売上の3%

テレビCM単体のROIは1.6xでしたが、間接効果を含めると実質ROI 2.4xに。

チャネル別の適正投資額

MMMの飽和曲線分析により、各チャネルの「投資の天井」が明確になりました:

チャネル     | 現状投資 | 適正投資 | 判定
テレビCM    | 1億     | 8,000万  | やや過剰投資
リスティング | 8,000万  | 1億     | 投資不足
SNS広告     | 5,000万  | 6,000万  | やや投資不足
アフィリエイト| 4,000万  | 3,500万  | やや過剰
同梱チラシ   | 3,000万  | 2,500万  | やや過剰

施策と効果

予算再配分の実施

総広告費3億円は据え置きのまま、MMMの推奨に基づき以下の予算移動を実施:

  • テレビCM:1億→8,000万(-2,000万)
  • リスティング:8,000万→1億(+2,000万)
  • SNS:5,000万→6,000万(+1,000万)
  • アフィリエイト:4,000万→3,500万(-500万)
  • 同梱チラシ:3,000万→2,500万(-500万)

6ヶ月後の効果

指標BeforeAfter変化
月間売上1.67億1.92億+15%
全体ROAS6.7x7.7x+15%
新規獲得CPA12,000円9,200円-23%
テレビCM ROI(間接含む)2.4x2.8x+17%

12ヶ月後:想定外の副次効果

  • テレビCMのクリエイティブ改善:MMMで「商品説明型CM」と「ブランドイメージ型CM」の効果差が判明。前者のROIが2倍高く、CM制作方針を変更
  • リスティング広告の入札戦略見直し:テレビCM放映週はCVRが高まるため、CM放映スケジュールと連動した入札単価の自動調整を導入
  • 経営報告の質の向上:「テレビCMの効果は測定不能」から「ROI 2.8xで投資回収済み」と報告できるようになり、次年度のテレビCM予算が確保

この事例から学べること

  1. テレビCMの効果は「直接効果」だけでは測れない — 間接効果(検索リフト、CVR向上)を含めると評価が大きく変わる
  2. データ収集が最大のボトルネック — 特にオフラインチャネルのデータ取得には代理店との連携が不可欠
  3. 完璧なデータを待つより、80%の精度で始める方が良い — GRPやCV数など代理変数でも十分実用的な分析ができる
  4. MMMの結果は「社内コミュニケーションツール」としても機能 — チーム間の対立をデータで解消できる

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